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ベナウル伝説  第6話

『リナの涙』

「どうしたんだリナ、浮かない顔して。」
アナフッドがめずらしく静かに言った。
こんな顔するのあたりまえなのに。
「よく平気だね。3人も犠牲になったんだよ!?どうして冷静でいられるの!?」
すこし怒鳴り気味に言った私に少しアナフッドは驚いたようだった。
だってアナフッドって3人も犠牲になったこと気にもとめてないんだよ?
ルナさん達があんまりにもかわいそうだよ・・・・。
そう思っただけで涙がボロボロでてきた。
「泣くなリナ。」
そう言ったのはフリックさんだった。
「でも・・・・3人も・・・・3人も私についてこようとして、犠牲になったんだよ?
ルナさん達は何も悪くないのに・・・全部、全部私のせいだ・・・。もう嫌だよぅ!」
「リナっ!メソメソしてんじゃねーよ!」
アナフッドが怒鳴った。
「今やめたら、この星はフールアの物になるんだぞ!?それに、お前が泣いてるの見て
あの3人はどう思う!?」
あ・・・・・そんなこと考えてもいなかった。
ここでやめたらすべて水の泡。何のためにルナさん達が犠牲になってしまったのかを
わからなくなってしまう所だったね。
「これからだって誰が危険な目にあうかわからない。俺だっていつ殺されるかわからないんだぞ。
その度にメソメソしてたらベナウルを元になんて戻せないぞ!それでもいいのか!?」
アナフッドの表情が少し、悲しそうに見えた。
「ごめん、アナフッド・・・ごめんね・・・みんな。」
本当はアナフッドだってフリックさんだって、すごく、すごくつらいんだよね。
・・・・なのに自分の感情ばかり押しつけちゃって・・・。
「はいはい、そこまでやで、フールアの手下さん。」
10歳〜12歳の2人の女の子が木影から出てきた。
「あの・・・私達フールアの手下ではないんですけど・・・。」
「ちゃうちゃう、あんたやない。ライト、教えたって。」
そう言うと白い服を着た優しそうな表情の女の子が棒をある2人にむけて突き指した。
「あんたらや。ルーク、ミリーナとかいうお方。人をだますのはやめておいた方がいいで。」
え・・・・・?
「何言ってるんだ!?俺達はだましてなんか・・・。」
「いつまで嘘を通すつもりや。わいらにはちゃんとわかるんやで。あんたら、フールアのにおいが
ぷんぷんするで。いい加減認めたらどうや?」
そう1人の女の子が言ったとたん。ルークとミリーナが、

「もぅやめましょ、ルーク。もうばれちゃったし。こいつらのことは十分調べたしね。」
調べる・・・・ってどういうこと・・・?
2人がフールアの手下・・・?
「ま、せいぜい3人でがんばるんだな。じゃぁなっ!」
そう言って2人は遠くへ去っていった。
「大丈夫か?あんたらずっとあいつらにだまされとったんやで。」
さっき泣きやんだばかりなのにまた、涙がでてきた。
泣いちゃいけないってコト、解ってたけどこれだけは止めることができなかった。
これって泣きっ面に蜂っていうんだよね・・・。ホント、最悪。どうしてこんなに悪いことが続くの?
「大丈夫や、悪いことが続いた後にはかならず良いことがあるんや。さっそくあんたらにイイ知らせが
あるんやで。ちゃんときいてなよ。ライトっ。」
そう言うと2人はにっこりと笑って声をそろえてこういった。
「ルナとアルテミスとウラヌスはまだ生きてる」
・・・・・ってね。それを聞いた私はまた泣いちゃったんだ。
もう泣かないって決めたのにね。でも、嬉しい涙ならいいでしょう?ね?アナフッド。
「ま、残念ながら古伝に記された髪はそのうちの2人、ルナとウラヌスだけやけどな。」
「え・・・?じゃぁアルテミスさんは・・・?」
「あぁ、アルテミスはアレや、アルテミスってのは『月の女神』っちゅぅやつでな、アルテミスは
つまり、『導き役』ってやつや。だからアルテミスなしでは花の所にいけないっちゅーわけや。」
そう言いながらアナフッドに金色に輝く小さな鍵を渡した。
3人は『アーリトルン』という町の『金の城』というところにいるらしい。
そして、それだけいうと2人は立ち去ろうとした。
「ちょっと待て!」
フリックさんがライトの腕をつかんでこういった。
「お前達、なんでそんなことを知っているんだ!?お前達もなにかフールアに関係あるのか!?」
ライトは一息ついてこういったの。
「違うんや、アタシらはライトとダーク。この世界の未来が光となるか闇となるか
それが全て目に見えているんや。それ以外のことは言うことはできんのや。・・・じゃぁがんばりや。」
それだけを言って、2人は去っていった。
まだどうなるか解らないだけど今言えるのは、
この先どうなっていくのかは、

『私達次第』っていうことだけ・・・・・。

つづく・・・・

 

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モドル